The 6th VFR BEAT-TRIBE CUP

DATE 2004.03.21
PLACE DIFFER有明
Version Virtua Fighter4 Evolution
ENTRY 173 TEAM
WINNER 太鼓部屋
大銀河/超南晶/大須晶/養老影/灘琉豪
MVP 養老影
BEST BOUT 養老影 VS 拝人

焦点は至極分かり易いものだった。[太鼓部屋の2連覇達成なるか?!] 第4、5回アテナ杯で明大前代表が成し遂げたこの偉大なる足跡は、8年経過した今でも並ぶ者さえ現れないという孤高の記録でもあった。熟成期に入った『VF4Evo』は、未曾有のスキルを依然として有する彼らに間違いなく"追い風"として働く、とりわけ不確定要素を極力押さえ込むことが出来れば、このビッグチャンスを掴めそうな状況でもあった。

しかし例の悪癖がいきなり顔を覗かせる。予選リーグ初戦で、神奈川勢の「プロジェクト【G】」に大苦戦を強いられるのであった。"緒戦に脆い太鼓"というジンクスにまたしてもハマり、遂にはWマッチポイント点灯!ここを落とせばその後の道程は、まるで違ったものになっていただろう…ただ結果は灘琉豪が寸でのところで凌ぎ切ってみせた。傍から見れば心もとないスタートに映ったかもしれないが、この"衝撃"こそが彼らのエンジンを点火させるキッカケとなるのである。「勝負のアヤ」というのは、つくづく何処に潜んでいるのか解りません(笑)。

一方、他のブロックでは近年続く"力の均衡化"が絶妙なスパイスとなり好試合を多数生んだ。もはや強豪、新興といったカテゴライズが殆ど意味を持たないほど両者の格差は縮まってきており、かろうじてシードチームが頭一つ抜け出しているというのが現在の為りざる姿となった。それを端的に示していたのが13ブロックでの戦いだ。ここには第2シードと目されていた「大仏パンチ」が控えていたが、「名長連合」の2人のLE使い(大森レイ、スワコスター)の前にいきなり撃沈!しかし次戦では、栗田率いる「全日本家主協会」が彼ら を止め、代表者戦に突入するという大激戦ぶり。遂には2人目まで突入したその後の"神経戦"に、優勝候補などという威光は微塵も感じられなかった(結局、大仏はWカード)。また11ブロックにおける「ライオンズ」の如月が、伸び伸びとしたプレーでちび太を倒すシーン、これなどはちょっと前では本当に考えられなかった光景ではないか。まさしく"強豪再編"を迫る勝利とでも言おうか。今年もゆっくりではあるが、確実に既存の固定観念を外に押しやった感じです。

その他、史上初の試みとなった海外招待チームは、予選で早くも歴史的1勝をマークすることに成功!惜しくもWカード行きとなったものの、ここからが圧巻であった。代表として出場したのが韓国のShinZ、彼はエボを殆ど触っていなかったものの(韓国は「VF4」しかない)、河合星矢、ナガト、カシンを力強い立ち回りでことごとく撃破!そして迎えた決勝は「ShinZ VS ちび太」というゴールデンカードが実現する。

全ての筐体は止まり、会場全体の視線がこの試合に集中する中、両者は臆することもなく互いの持ち味を存分に発揮。そしてWリーチの末、何とかちび太が逃げ切ってみせた。ただし常に勝負する姿勢を貫いたShinZのインパクトは、今までに無い新鮮なものであり、存在を更にアピールしたのはいうまでもない。(因みに次回も来日予定です!)

迎えた決勝トーナメントは、1回戦から早くも"慣例事項"が崩される様相を見せる。前出「ライオンズ」のしまは、好調のチームを反映するかの様に、上位進出を狙っていた古豪「魔神一家」相手に5タテを達成!大小技を使い分け、追い込んでいく彼のWOは、遂にはつちくもさえも飲み込んだのだ。 また九州勢最後の砦となっていた「NineStates」は、いのっちがまさしく鬼門となり、4-1の楽勝ムードから一転、まさかの逆4タテを喫し、切り札のレオラオさえも"完封"に斬って取られた。
ことごとく続く下克上は、新時代を予感させるに充分な勢いがあったが、次第に上がる負荷の前に徐々に失速。準々決勝あたりからは、勢いだけではない確固たる技術と狡猾な思考、そして総合力を持ち合わせなければ「その先」は望めないのだ。そんな歴史を今大会も継承した様で、上位には計算されたように相応しいチームが佇んでいた。

先にファイナル進出を決めたのが、「阿佐ヶ谷地区代表」。長いキャリアに裏打ちされたプレイヤー各々の勝負勘は、ここぞという時に威力を発揮し、「ライオンズ」と「原黒商事くそがき」を止めたのもこのチームであった。
そしてもう一方は、予選を突破した以降は被マッチポイント"0"、磐石の立ち回りで遂に「太鼓部屋」がここまで勝ち上がって来た。勝手知ったる両者だけに、お互いのカードの意味と役割は全て理解出来ていたであろう。

しかし、大須晶の2連勝が両者のバランスを崩すきっかけを作り、阿佐ヶ谷大将の拝人に対し、超南晶&灘琉豪という2枚のAKを残した太鼓部屋。ちょっとしたキッカケからリズムに乗れる拝人だけに副将を倒せば流れを手繰り寄せる可能性は充分あった、しかし前回覇者の新戦力は最後まで"最高のオプション"という役どころを全うした。 『大覇王』に訪れた歓喜の瞬間は、同時に太鼓部屋が8年振りに明大前代表の記録に並んだ日でもあった。